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田舎暮らしの楽しみ
フィールド観察


【文字ばかりを読んでいては、世界のあらゆる物と出来事が、隠喩によらず、じかに私たちに語りかける言葉であることを忘れる恐れがあります。物と出来事こそが最高に豊かな言葉であって、私たちの標準語です。】(第四章「音」)

ソローは大変に地域に拘った人です。
旅行の時を省いてはほぼ全生涯コンコードで暮らしたと言います。
そしてその土地の自然を詳細に見ました。
鳥の名前、花の名前、草の名前を詳細に調べ、書き記し、生態を観察し、スケッチしています。
何でも知ってる博物学者、でもあり、ひっくりがえせば細分化された社会で定職を持たなかった何でも屋さんです。

ソローはなぜ詳細に世界の名前を知りたがり、それがどのように動いているのか知りたがったのか。
おそらくは自分自身が他のあらゆる命あるものたちと同じように「この自然の中の一部」である自覚が強かったからだと思います。
ソローにとっては世界を知ることが自分を知ることだったのでしょう。
自分という存在が理性で世界を塗り替えるものではなく、
自然の中でその他の命の中で共存して生きていくものであるという姿勢は今日エコロジストの先駆けとして再評価されてきています。

私は物の名前を覚えるということをこの本から教えてもらって試してみましたが、本当に楽しいものです。
ソローのように毎日同じ道を散歩します。
ソローのように単調な冬の中で春を待ち望み、
エゾエンゴサクや、ニリンソウやエンレイソウが春を告げるとこおどりする程に喜びます。
それは毎年毎年時期がくれば咲いてくれるものです。
だから雪深い冬の中で青や白に咲き乱れた風景を想像して楽しみに待つことができます。
そして春先に遠慮がちに芽をだした草木がどんなに奔放に大胆に夏を謳歌し、種子を飛ばして生命の自己主張をするのかが見えます。
注意してみるとそこで何が起こっているのかが少しずつ分かるようになってきます。

身近なものを見逃さず、名前を覚えることを、私からもぜひお薦めします。遠くへ美しいものを見にいくよりも、足下にある知らないもの、に注目して毎日みる方が、実際とても楽しいのです。

小さな双眼鏡を手に入れてください。
それから小さな手帳と鉛筆が必要です。
目にとまったものは手帳に書き留めて、図鑑で調べます。
見た物をまとめて自分で図鑑を作っていくのも楽しいです。
色鉛筆を買って、持ち帰ったスケッチに家で絵をつけて日付などを書いてとっておくと結構きれいなものになります。

世界は読まれるべくして待っている書物です。


更新日:2006-06-22


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