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スローフード
もてなし〜とうもろこしの粥


【客がひとりの時は、時々、食事を一緒にしました。私の食事はとても質素で、あっという間にでき上がります。インディアン・コーンの粉のかゆを口にしても会話の邪魔にならず、熱い灰の中で一枚のパンがふくらんで焼けるのを見るのも、会話のつまでした。】(第六章「訪問者たち」p182)

「インディアンコーンの粉のかゆ」となっていますが原文ではヘイスティ・プティングです。西部開拓家族の物語「大草原の小さな家」を愛読すること20年の私には実はおなじみのアメリカンフードです。とてもよい参考文献があったのでどういった食べ物かちょっと具体的にご紹介します。

【ヘイスティ・プティングという名前は、オートミールと小麦粉で作る、イギリスのヘイスティ(即席)プティングからきていますが、おそらくこれは、ゆっくりと非常に長い時間をかけてつくるものの代用品だったのでしょう。オートミールと小麦粉の替わりにコーンミール(注 とうもろこしを粗びきにした粉。黄色のものと白色のものとがある。ビタミンA、B1、B2、Eなどを含んでいる)を使うのですが、材料が簡単なわりには、作り方は、なかなかやっかいです。即席とは名ばかりで、コーンミールは、ほんのすこしずつ湯に入れないと、だまができてしまうし、焦げ付かないように、ごく弱火で、ゆっくり煮つめなければなりません。(「大草原の小さな家の料理の本」より引用)】

 友人をもてなすのに、できるだけ熱い議論の邪魔にならない簡素さを重視したソローのこと、あんまり煮込んでいなさそうです。もしかするとダマなど殆ど気にせず、コーンミールをお湯で溶いた程度のものだった可能性もある、とも思います。実は食事を出そうとしたら訪問者が逃げ出した、なんて書かれている部分もあるので(第十三章)、推して知るべし、というところであります。

自分の暮らし方についても客人と分け合うために
わざと普段自分が口にしているものを友人と一緒に食べたのでしょう。
ソローは社会を良くする為にまず自分がよくなろうと考えました。
あまり深く考えずにもてなしように少しよい食事を用意するのであればその方がかえって簡単だったのかもしれませんが
社会にあわせて今の暮らし方を無視したもてなしをするという考えは
自分にも客人にも意味のないことなのでしょう。
ここで立ち止まったことこそが本当のスローフードということなのかな、と思います。

社会を変えようと思ったときに、大抵の場合ははとりあえず自分を棚に上げて
出来るだけ大きなことに取り組もうと思うものですが、
ソローはまず自分から、それも食べるというあまりロマンチックには見えない身近な問題から取りかかりました。
質素なとうもろこしのおかゆはソローが食に無関心だったことよりも
むしろそれに真剣に取り組んでいたということを現すものでした。


更新日:2006-06-19


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