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スローフード
マツの香りのバタつきパン


【こうして家を建てる準備をして森で過ごしたのは、たいした日数ではありません。その間、私はたいていバターをつけたパンを昼食に持っていきました。お昼時になると、私は切り落とした松の枝の間に入って座り、松の緑の葉に囲まれてパンを食べ、パンの包み紙の新聞を読みました。パンを頬張ると松の芳香がしましたが、松ヤニだらけのわたしの手から移ったものでしょう。】(第一章経済p56)

これから住む森の家を、自分の手で建てている日々に
森で食べたバタつきパンがどれほど美味しかったのか、ということを意気揚々と報告するソローです。

気兼ねない独りの食事、
心地よい労働と空腹、
森の良い空気、
爽やかなマツの香り、
これからの生活の希望、
ソローは食事が美味しいというのはつまりどういうことなのか、ということを
正確に描き出しています。

ソローは判断力の自立した人ですから
食べ物を美味しくするのは
人の評判でも、刺激的なことでも、高価なことでもない
ということはもともと良く知っています。

これは自分の外にある価値観から離れて
自分の内なる声に耳を澄まして暮らそうと決めたソローが森の家で食べる
幾多の食事の序章となるものです。

本当に、とても美味しそうだと思います。
普段から美味しいものを食べている人こそが、
本当に美味しいものを食べる為に知恵を使うのではないでしょうか。


更新日:2006-06-19


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