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ミニマムライフ
情報


ソローはニュースやゴシップも無駄なものとして退けています。
ニュースについては「1649年の清教徒革命まで遡らなければめぼしいニュースはない」(第二章)と言っています。
(これは「市民の抵抗」という著を著してガンジーの市民運動に影響を与えたソローその人のセリフです)。
無駄なものは有形のものだけではないのです。

ソローは能動的に生きることを望みました。
こちらが寝ころんでいても望みもしないで飛び込んでくるものの中で
何が良いもので何が無駄なものであるかの判断が追いつかないままに溺れて暮らすのではなく、
自分が選んだ自分のためのものの中で暮らそうとしたのです。
自分で選択して身につけていく情報としてソローは古典を読むことと、世界を観察することを薦めています。

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌など、
考えてみるとどれもがあまりにもたやすく手に入ってしまう情報です。
本当に良いものはどれかと考えるよりも、
選ぶことを辞めて片端から頭を突っ込んでしまった方が早いくらいです。
そうしているうちにどんどん物を選ぼうという気持ちは薄れていってしまいます。
何しろこちらが知ろうとして行動を起こさなくても
情報の方でいつも勝手に飛び込んできてしまうのですから。

それから、これはソローから150年たった現代の私が見たところによりますが、
あまりにも手軽すぎることの胡散臭さがあります。
どうしてそんなに情報が安いのか、これはやっぱり誰かが儲けるからです。
どれもこれも「あれを買わなければならない、なぜなら」「これも買わなければならない、なぜなら」という情報でいっぱいです。
あんまり笑いごとではありません。
あちらとこちらから流れてくる情報で同じことを言っていたら結構信じてしまうものです。

例えば、私の同年代の友人たちの中にも綺麗である為にはお金がいるのだと信じて
体のパーツごとにそれぞれ違う洗剤を何種類も用意して洗っていたり
肌の手入れのために必要、と銘打った化粧品を絶やさないようにしなくては恐ろしくて暮らせなかったり、
といった人が非常に多くいました。
本当に好きだから、というよりはむしろ
まず洗脳されてしまっていて、それが絶対必要なのだ、と無批判に思いこんでしまっているのです。
情報源はたいてい、あの罪のないテレビや雑誌です。
何の悩みもない私にまで、顔を洗ったらすぐに化粧水と乳液をつけないと恐ろしいことがおこる、とみんな親切に教えてくれたものです。
一度使うのをやめてしまえば分かる、その種の殆どどれも変わらない薬品類を丁寧に見比べて
どちらがよりよいのかを考えるのにじっくり時間を掛けるようになり、、
そして大抵は仕組まれた罠の通りにより高いものを買うようになってしまいます。
彼女たちが冷静な判断ができていないのは情報の方が彼女たちを溺れさせるように
予め仕組んであるからだと、私は思います。
今の「飛び込んでくる情報」のあり方は、力がありすぎてとても危険です。

さて、目に見えないものについて取捨選択の基準ですが。
頼みもしないのにむこうから勝手に飛び込んでくるものを排除すれば良いのではないでしょうか。
そして欲しいものは自分から取りにいきます。
ソローが言うには「真に自分にあったものだけが役にたつ」のです。
情報が沢山あればそれだけ賢くなるというものではないので、
誰に出し抜かれる心配もいりません。

本は、書き手と同じひたむきな気持ちで読まねばならず、書き手が込めた深い意味を推し量りながら読まねばなりません。
(第三章「読書」p128)


更新日:2006-06-27


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