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生涯定職に就かなかったソローの生き方

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脱サラという実験
人づきあい


【こうした社交のつまらなさをしのぐために、早い話がいらいらしてケンカにならないように、エチケットとよばれる規則を作らねばなりませんでした】(第五章「独り居」p175より引用)

私が勤めていた会社はとてもマナーに厳格なところでした。それはそれでとっても勉強になってよかったのですが、ソローのこの文章を読んでからおかしくて仕方なくなってしまいました。嫌いな人とうまくやって行くための決まり事なのね、と一度思ってしまうと、しゃちこばった挨拶なんかするたびに、ああ、なるほど言われてみれば私はこの人が嫌いだもんねえ、なんていちいち思うようになってしまって。ソローがあんまり正直なので、この文章長く心に残ってしまいました。面白い。

【あなたは、あんなところに住んで、寂しいでしょう?もっと人里近く住みたくありませんか、特に雨や雪の日、それに夜なんか?】
中略
【問題は、人を仲間から隔てて独りぼっちにする空間とは、どのような種類の空間か、でしょう?私はいくら足で近づいてみても、ふたつの心はちかづきはしない、と知りました。】(第五章「独り居」p171より引用)

ソローは自分は社交好きだと言いますが、やたらに近づくこと、四六時中お喋りすることには、意味がないと言います。快適な個人空間を取ること、よく練られたその人独自の考えに耳を傾けることを好みます。
「足で近づいてもふたつの心は近づかない」とは、今都市で生きる人なら、みんな知っていることではないでしょうか。私の本にはこの一文に鉛筆でラインがひいてあるのですが、それは都市で会社員として生活していた頃につけたものです。


更新日:2006-06-28


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