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生涯定職に就かなかったソローの生き方

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何の為に働くのか
私の移住体験


ソローの本を読んでソローのように暮らしたいと思った人は随分沢山いるのだと思います。
でもみんなそれぞれ事情が違います。
私も含めて殆ど全ての人が何らかの事情でソローのようには暮らせないだろうと思います。
ソローのように自由に住める土地もありません。
周りにある木と古い小屋から一軒の家を造ってしまう技術もありません
農業の名手でもありません。
始めようとすればゼロから学ばなければならないことは多すぎるように感じます。
ソローは自分がどれほどのことができるからどういう生活ができる、という目算が十分にあってことを始めたのでしょう。
それを読む私たちにあっては目算がまるで何もないことの方が多いように思います。

私も、随分とうなずきながらソローを読みました。
隣の人とだいたい同じような暮らし方をするのに時間とお金を浪費するのは意味がないと思いましたし、
お腹が空いても居ないのに飢えるのを心配することだけに時間を取られて年をとるのが嫌でした。
私は家の中よりも風の動くところが好きなので、本当に良い風が通るところに暮らしたいと思いました。
天気の良い日にはその贅沢な恵を十分受け取れる暮らし方をしたいと願いました。
どう考えても今の勤めは辞めて新しい生活にチャレンジして見た方がいいだろうと思ったのです。

さて、その試みはできるでしょうか。

まずソローが最初に取りかかった家の問題なのですが
これは私も時代にマッチした目算をちゃんと持っていたのです。
日本中を自転車で丹念に旅した経験から、過疎地では使っていない古い家というのは余っており
ただみたいな値段で借りられる所が少なくないのを自分の目で見て知っていました。
私は過去にも長野県で月800円の家賃で半年暮らしたことがあります。
敷金礼金保証人などの類もなく、すぐに住めます。
ただしそういった土地は当然不動産屋さんなどはありませんので
土地の人と仲良くなって「なんとかさんの家は使ってない」という情報を得て
なんとかコネを使ってそのなんとかさんと直接話ができるようにしなければなりません。
でもそれは時間だけあれば、お金がなくてもできることなのです。
きっかけとしては住み込みで働いてみてその土地に知り合いを作るのが早道になります。
展望が見えなければ役場に行って相談するのもいいのです。
そんな訳で、私にとって土地と家の問題はものの数ではありませんでした。

では畑仕事はどうでしょう。
ソローは幼い頃から農作業に親しむ機会があったそうです。
だから開墾をすれば自給自足の糧と、それから多少ともお金に換えるだけの収穫を得る見込みがあったのでしょう。
私は殆ど土をいじったこともないような育ちですので一年の内に何か食べられるものと現金を畑から作り出すというのは空を飛ぼうとするような偉業に思えました。
それができるようになるには長い時間が掛かると考えるべきでしょう。
日々の糧を得るためにはソローとは違うやり方を考えなければなりません。
当初は小さな家庭菜園を作って畑仕事を試しにやってみながら、一日に数時間程度のアルバイトを探そうと思っていました。
小さな町でも焦らなければ何かしらの仕事は探せますし、私は雇用保険が貰えたのでその間はゆっくり構えて探すことができたのです。

 この点に関しては実際には短時間のアルバイトではなくインターネットを使った仕事をし始めています。その仕事をしている知人に教えてもらいながらそこから収入を得る方法を模索中なのです。
このネットを使っての仕事という発想は新しい暮らし方を考え始めたときには思いつかなかった、偶然の出会いから見つけたチャンスでした。
今は雇用保険で食いつなぎながら私の新しい豆畑が芽を出すのかどうかを見守っているところなのです。
うまくいかないようであればまた別の何かを考えるでしょう。

このまったく未知の豆畑は私のもくろみを色々と変えたのですが、まずはネットの利用できる環境に住むのが条件になる為思ったよりも高い家賃の家に住むことになりました。(そうは言っても元に暮らしていた家の三分の一の家賃です)その代わりに知人とシェアしています。

そんな訳で今のところ何も完全ではないのです。
ソローは「この快適な暮らしはいつでも誰でもすぐに始めることができて、永久に続けることもできる」と確信し、実験の成功に満足して森の家を出ました。
私は自分の豆畑がうまく行くまではこの生活を成功だとは言えないでしょうから、まだ実験は始めたばかりです。
それでもソローのように資金は幾ばくもないところから、とにかく生き方を変える試みということは始められることが分かりました。


更新日:2006-06-28


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